ハラール(青歯王)(読み)はらーる(英語表記)Harald Gormssøn, Blåtand

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハラール(青歯王)」の意味・わかりやすい解説

ハラール(青歯王)
はらーる
Harald Gormssøn, Blåtand
(?―985/988)

デンマーク王(在位950ころ~985/988)。青歯王はあだ名。ユトランド半島中部のイェーリングを本拠地に、父ゴーム老王Gorm den Gamleの死(950ころ)後デンマーク全域を支配した最初の王とされ、さらにノルウェー王位継承争いに干渉してその南部地域も支配下に置いた(960ころ)。また、同じころデンマークの民をキリスト教に改宗させ、これらの事績を記念して、自ら北欧最大のルーン石碑をイェーリングに建てた。973年オットー1世(大帝)の死を契機にドイツを攻撃したが敗れ、翌年オットー2世に越境され、アイダー川付近に砦(とりで)を構築された。のちにこれを破壊し、当時の主要交易地ヘズビューのあるシュレスウィヒ地方を奪還した(983)。息子スベン(双髯(そうぜん)王、在位985ころ~1014)の反乱で王位を追われ、オーデル川河口に自ら建設したとされる要塞(ようさい)ヨムスボーに逃れたが、戦傷がもとでその地で没した。遺体は、自ら建立したロスキール教会に運ばれて埋葬された。

[荒川明久]

『J・シンプソン著、早野勝己訳『ヴァイキングの世界』(1982・東京書籍)』

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