ハンセン(Martin Jens Hansen)(読み)はんせん(英語表記)Martin A. Hansen

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハンセン(Martin Jens Hansen)
はんせん
Martin A. Hansen
(1909―1955)

デンマークの作家。シェラン島の農家に生まれ農耕に従う。のち進学し教師になるが、小説『いまや彼は断念する』(1935)で、1930年代の農業危機を扱って注目を浴びる。童話風の『ナタンの旅』(1941)、『幸福なクリストファー』(1945)で地歩を確立。短編集『茨(いばら)の藪(やぶ)』『鷓鴣(しゃこ)』のあとは評論活動や文化史研究に没頭し、『煙突の中での思考』(1948)、『レビアタン』で思想的・民俗学的な深化を示し、グルンドビー、キルケゴールに共鳴して、進化論、マルクス主義に対決する立場をとる。50年ラジオ小説『嘘(うそ)つきたち』で成功を収める。最後の大作『蛇(へび)と牡牛(おうし)』(1952)は北欧文化賛歌で、20世紀北欧の代表作の一つに数えられる。『アイスランドへの旅』(1954)など旅行記もある。

[山室 静]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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