日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ハンソン(Duan Hanson)
はんそん
Duan Hanson
(1925―1996)
アメリカの彫刻家。ミネソタ州アレクサンドリアに生まれる。ワシントン大学などで美術を専攻したのち、1960年代末からジョージ・シーガルの影響で色彩彫刻を発表し始める。「ハイパー・リアリズム」の代表的彫刻家で、現実の人体から型取りして鋳型で正確に再現された像に色彩を塗り、髪の毛や衣服をまとわせて本物そっくりのイリュージョン(幻影)をつくりだす。60年代には黒人暴動、浮浪者などを主題に社会意識の強い作品を発表したが、70年代以降は現代アメリカの典型的市民の日常的動作をとらえ、心理的陰影の濃い作風を生み出した。
[石崎浩一郎]