日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ハント(William Holman Hunt)
はんと
William Holman Hunt
(1827―1910)
イギリスの画家。ロンドンに生まれ、同地に没。1844年からロイヤル・アカデミーの美術学校に学び、在学中知り合ったJ・E・ミレイ、D・G・ロセッティらとともに1848年ラファエル前派を結成。ラスキンなどの影響から、忠実、精緻(せいち)な自然描写を通して高邁(こうまい)な理想を描こうとした。とくに信仰心に厚かった彼は、1854年から三度にわたって聖地エルサレムを訪れ、自らの宗教画に地理・歴史的な正確さを追究した。人間の魂の扉をたたくキリストを描いた『世界のともしび』(1853ほか)は、当時ヨーロッパでもっとも有名な宗教画の一つとなった。また著書『ラファエル前派主義とラファエル前派』2巻(1905)は、やや牽強付会(けんきょうふかい)なところもないではないが、同派を知るうえで基本的な文献となっている。
[谷田博行]
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