バエティカ(英語表記)Baetica

改訂新版 世界大百科事典 「バエティカ」の意味・わかりやすい解説

バエティカ
Baetica

ローマ帝国支配下におけるイベリア半島南部の属州。この地域の中央を流れるバエティスBaetis川(現在のグアダルキビル川)にちなむ命名。トゥルデタニ族Turdetaniなどのイベリア人先住民族は,ローマ支配下にあってローマ文化の受容に熱心であったので,都市化の進展が著しい地域として注目されていた。国土小麦ブドウオリーブ栽培によって豊かであった。これに着目したバンダル族が5世紀にこの地方に侵入し一時的に支配したので,今日ではアンダルシア(〈バンダルの地〉の意)と呼ばれる。
アンダルシア
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バエティカ」の意味・わかりやすい解説

バエティカ
ばえてぃか
Baetica

古代ローマ帝国の属州。イベリア半島南部、ほぼ現在のスペインのアンダルシア地方にあたる。共和政期には属州下ヒスパニアHispania ulteriorの一部。第二次ポエニ戦争以降、多くのローマ市民、イタリア出身者が定住し、イタリカItalica、コルドゥバCorduba(現コルドバ)などの都市を建設した。帝政期にはもっともローマ化の進んだ属州であり、哲学者セネカ、詩人ルカヌスなどの文人や、トラヤヌス帝、ハドリアヌス帝などの政治家を輩出した。

島田 誠]

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