バトラー(Nicholas Murray Butler)(読み)ばとらー(英語表記)Nicholas Murray Butler

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バトラー(Nicholas Murray Butler)
ばとらー
Nicholas Murray Butler
(1862―1947)

アメリカの教育家。ニュー・ジャージー州エリザベスに生まれる。コロンビア大学に学び、1884年博士号を取得、パリ、ベルリンに留学し、1885年にはコロンビア大学哲学助教授、1890年教授となり、1902年から1945年まで総長を務めた。彼は60年間コロンビア大学で教育を続けたが、その間、彼の指導のもとでコロンビア大学は驚異的成長を遂げ、超一流の大学となった。また、教員養成カレッジ(のちコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ)を設立、『教育評論』Educational Reviewを創刊するなど、教育制度改革に尽力した。

 一方、政治の分野でも活躍し、1888年から1936年まで、共和党全国大会に出席代議員を務め、1908年にはタフトを支持し、大統領に当選させた。また、平和運動にも没頭し、とくに教育機関の世界的な結束を模索した。国際調停協会のアメリカ支部長となり、戦争の違法性を確定したケロッグ‐ブリアン条約の締結に協力するなど、国際理解による世界平和達成に努力した。さらに産業企業家のカーネギーを説得してカーネギー国際平和財団の設立に関与、1925年から1945年まで財団の理事長を務めた。これらの平和活動が評価され、1931年同じくアメリカの平和運動家アダムズとともにノーベル平和賞を受賞した。そのほか、15か国から勲章を、37大学から名誉学位を受けた。

[編集部 2018年10月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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