日本大百科全書(ニッポニカ) 「バリスター(抵抗体)」の意味・わかりやすい解説
バリスター(抵抗体)
ばりすたー
varistor
電圧によって抵抗値が非直線的に変化する抵抗体。variable resistorの意。電圧Eと電流IがI=kEnの関係になる。kは材質および構造によって定まる定数、nは材質によって定まる非直線定数で、nが大きいほど良好なバリスター特性を示す。バリスターには、ゲルマニウム、シリコン整流素子またはツェナーダイオードのpn接合特性を使ったものと、焼結体の粒界のバリア特性を利用したSiC(炭化ケイ素)系およびZnO(酸化亜鉛)系の焼結形がある。前者は動作電圧が低く0.3~20ボルトであって、単体では特性が非対称であるから、対称性が必要な場合には2個の素子を逆方向に並列または直列接続して使用する。後者は対称的な特性をもっており、構造によって5~1万ボルトの広い動作電圧のものがつくれる。
バリスターは一般に電気接点の火花消去、各種半導体装置のサージ電圧保護に使われている。ZnO系のものはとくにnが大きく、かつ高電圧に使用できるので、テレビジョンの高圧電源の安定装置や避雷装置としても使われている。
[二木久夫]