バルトリハリ(インドのサンスクリット叙情詩人)(読み)ばるとりはり(英語表記)Bharthari

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バルトリハリ(インドのサンスクリット叙情詩人)
ばるとりはり
Bharthari

生没年不詳。インドのサンスクリット叙情詩人。活躍期は7世紀ごろ。17世紀の中ごろに初めてヨーロッパに紹介され、3種のシャタカ(百頌(しょう)の詩集)の作者として知られる。『シュリンガーラ・シャタカ』(恋愛百頌)は恋愛の情緒を美しく詠じつつも煩悩(ぼんのう)は解脱(げだつ)すべきを訓(おし)え、『ニーティ・シャタカ』(処生百頌)と『バイラーギヤ・シャタカ』(離欲百頌)は、さらにこれを強調して解脱に至る道を説いている。唐の義浄(ぎじょう)の『南海寄帰伝』(四巻)に記されている大学士伐呵利(ばちかり)は、文法学者、哲学者バルトリハリ(5世紀)のことであるが、この学者と詩人が同一人であるか否か問題になっている。

[田中於莵弥]

『上村勝彦著『インドの詩人 バルトリハリとビルハナ』(1982・春秋社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android