バンダイキノリ(英語表記)Alectoria sulcata (Lév.) Nyl.

改訂新版 世界大百科事典 「バンダイキノリ」の意味・わかりやすい解説

バンダイキノリ
Alectoria sulcata (Lév.) Nyl.

ブナ帯付近の樹皮上に生えるサルオガセ科の樹枝状地衣。本州から九州にかけて,さらに台湾,中国大陸,ヒマラヤに分布する。地衣体は糸状で直径1~2mm,基部から盛んに分枝して立ち上がり,高さ5~10cmの灌木状となる。灰白色または褐色をおび,全体に深い溝がある。共生藻緑藻。先端近くに直径3~8mmの皿状の子器をつけることが多い。ゆでてから二杯酢で食用とする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バンダイキノリ」の意味・わかりやすい解説

バンダイキノリ
ばんだいきのり
[学] Alectoria sulcata (Lev.) Nyl.

地衣類サルオガセ科の1種。ブナ帯付近の樹皮に着生する。地衣体は長さ5~10センチメートル、基部の直径3ミリメートルくらいの円柱状であるが、上部になるにしたがって扁平(へんぺい)となる。多くの枝分れをして樹枝状となり、灰白色から淡褐色を呈する。乾燥すると堅くなるが、水分を含むと柔らかくなり、かつては山菜として食用にされた。本州から九州にかけて生育するほか、台湾、中国、ヒマラヤなどにも分布する。バンダイキノリに似た種類にツノマタゴケEvernia prunastri (L.) Ach.がある。これは針葉樹に着生するもので、かつてヨーロッパでは染料原料として利用された。

[井上 浩]

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