日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
バーカー(George Granville Barker)
ばーかー
George Granville Barker
(1913―1991)
イギリスの詩人、小説家。14歳で社会に出て苦学し、1939年(昭和14)来日して、東北帝国大学でイギリス文学を講じたこともある。30年代に詩人として出発したが、当時詩壇を支配していたオーデン一派の社会主義的な詩とはまったく異なる詩風の持ち主で、神秘主義的、宗教的熱烈さを示すとともに、難解なシュルレアリスム的な心像を用いた詩を多く書いた。自伝的な長編詩『ジョージ・バーカーの真実の告白』(1950)は自らの性的経験を露骨に語っており、BBCで放送されたとき、ポルノ風であるとして議会から批判の声があがった。作品には小説『死せる鴎(かもめ)』(1950)、『全詩集』(1987)などがある。
[富士川義之]