日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
バーバー(Samuel Barber)
ばーばー
Samuel Barber
(1910―1981)
アメリカの作曲家。カーティス音楽院に学ぶ。1935年、アメリカ・ローマ賞とピュリッツァー留学資金を獲得してローマに留学。十二音技法や多調性など、新しい音楽語法を導入した作品もみられるが、基本的にはロマン派の伝統を受け継ぎ、豊かな旋律感とリリシズムにあふれた親しみやすい作風を示し、アメリカ人の間に広く愛好された。代表作に、弦楽四重奏曲(1936。とくに第二楽章は編曲されて『弦楽のためのアダージョ』として有名)、ピアノ・ソナタ(1948)、メノッティの台本によるオペラ『バネッサ』(1957~58。ピュリッツァー賞受賞)、ピアノ協奏曲(1962)、オペラ『アントニーとクレオパトラ』(1966)など。
[寺田兼文]