バーラビ(英語表記)Bhāravi

改訂新版 世界大百科事典 「バーラビ」の意味・わかりやすい解説

バーラビ
Bhāravi

6世紀ころのインドのサンスクリット詩人生没年不詳。伝記は明らかでないが,アイホール発掘の碑銘(634)にはカーリダーサ(4~5世紀)とともにその名を連ねている。叙事詩《キラータールジュニーヤKirātārjunīya》により技巧派詩人として名声を博している。この詩は18章から成り,大叙事詩《マハーバーラタ》から取材し,勇士アルジュナ王子が凶悪な山地部族のキラータに扮したシバ神格闘し,その武勇を認められて天授武器を獲得するてんまつを述べているが,彼の名声は詩の内容よりはむしろ韻律および修辞上のすぐれた技巧によるもので,詩的技巧を重んじる修辞学書に多く引用されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーラビ」の意味・わかりやすい解説

バーラビ
ばーらび
Bhāravi

生没年不詳。インドのサンスクリット詩人。5、6世紀ごろの人と思われる。アイホーレ発掘の碑銘(634)にはカーリダーサとともにその名を連ねている。彼の作としては『マハーバーラタ』から取材し、アルジュナ王子が山男キラータの姿をしたシバ神と格闘して天授の武器を得る顛末(てんまつ)を述べた叙事詩『キラータールジュニーヤ』があり、その韻律と修辞上の技巧は注目される。

田中於莵弥]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーラビ」の意味・わかりやすい解説

バーラビ
Bhāravi

インドの詩人。6世紀頃在世。技巧的なサンスクリット叙事詩『キラータールジュニーヤ』 Kirātārjunīya (『キラータとアルジュナの格闘』) の作者

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世界大百科事典(旧版)内のバーラビの言及

【インド美術】より

…仏教寺院(伽藍)は仏塔をまつる祠堂と僧侶の居住する僧院とを基本単位として構成され,初期のものは木造であったために現存せず,やや遅れて出現する石窟からその構造を推測しうる。最古の石窟は,アショーカ王とその孫がアージービカ派のためにビハール州のバラーバル,ナーガールジュニ両丘に造営したそれであり,前2世紀後期以降はことに西インドに集中して開かれた。その初期のものは木造建築を忠実に模している点に特色がある。…

※「バーラビ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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