パウンド(Roscoe Pound)(読み)ぱうんど(英語表記)Roscoe Pound

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

パウンド(Roscoe Pound)
ぱうんど
Roscoe Pound
(1870―1964)

英米法学史上の巨匠ともいうべきアメリカの法律家。ネブラスカ州に生まれ、ハーバード大学を卒業した。弁護士、裁判官を経て、ネブラスカ大学で教鞭(きょうべん)をとったが、1906年、全米法律家協会の年次総会で行った「司法に対する民衆の不満」と題する演説反響をよび一躍有名になった。その後、ノースウェスタン大学、シカゴ大学に招かれ、1910年には母校ハーバード大学の教授となり、1947年まで在職した。この間、1916年から1936年までの長期にわたって法学部長を務めた。また抜群の記憶力をもち、大陸法思想にも明るかったばかりでなく、周辺諸科学にも精通していた。プラグマティストとしてホームズの継承者とみなされている。彼の法学の方法は社会学的法学sociological jurisprudenceとよばれ、判決にあたって、政治的・社会的な影響を十分に考慮に入れる現代アメリカ法学の発展に大きく寄与した。著作はきわめて多いが、そのおもなものには『法哲学入門』(1922)、『法律史観』(1923)、『コモン・ローの精神』(1921)がある。

堀部政男

『細野武男訳『社会学的法学』(1957・法律文化社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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