パナマ(市)(読み)ぱなま(英語表記)Panamá

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パナマ(市)」の意味・わかりやすい解説

パナマ(市)
ぱなま
Panamá

中央アメリカ、パナマ共和国の首都。パナマ湾に面し、パナマ運河の太平洋側入口近くに位置する。人口46万3093(2000)。パナマ運河地帯に入り込んでいるが、衛生、検疫を除きパナマの主権下にある。ラテンアメリカの他国の首都と異なり、標高が低いため高温多湿で、最高気温は各月とも30℃を超え、平均気温も27℃前後で年間の温度変化はほとんどない。雨期には午後に大粒のスコールが降り、赤色表土を溶かした水が街路にあふれ、豪雨のため都市機能が停止するほどである。1519年に建設され、スペインのラテンアメリカにおける植民地支配の拠点となったが、1671年イギリスの海賊によって破壊され廃墟(はいきょ)と化した。1674年旧市街地の東方10キロメートルの現在地に再建され、カリブ海沿岸のコロンに通じる鉄道の開通やパナマ運河の建設によって急速に発展し、1903年首都となった。台地上の山の手地区は並木のある街路が整ったスペイン風の町並みが残る歴史地区で、政庁、大統領官邸、教会、商社や高級住宅街がある。ここには南アメリカ独立運動の指導者シモン・ボリーバルの会議場(サロン・ボリーバル)が残っており、歴史地区とともに1997年に世界遺産文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。低地下町は密集した市街地で、社会資本整備も立ち遅れている。国際運河国際空港国際金融センター、国際賭博(とばく)場などの施設が集積する国際都市である。

[今野修平]


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