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パン・ゲルマン主義 パンゲルマンしゅぎPan‐Germanism

世界大百科事典 第2版の解説

パンゲルマンしゅぎ【パン・ゲルマン主義 Pan‐Germanism】

ドイツ民族至上主義の立場から,ドイツ系民族の統合を図ろうとする思想,運動,政策の総称。ただし,この用語はイギリスフランスなどドイツ以外の国々で使われ,ドイツ語圏では全ドイツ主義Alldeutschtum,全ドイツ運動の語が一般的である。理念的には19世紀前半のドイツ統一運動にその根を持つが,人種論的立場を採った運動体としては1880年代以降に成立した。これは二つの系列として現れ,一つは,ハプスブルク帝国(オーストリア・ハンガリー二重帝国)下でドイツ系住民を基盤とするシェーネラーGeorg von Schönerer(1842‐1921)を指導者とする運動で,スラブ系諸民族の台頭やユダヤ人の進出に反対しドイツ民族の優位を説いて,帝国の解体とドイツとの合体を掲げるもので,青年期のヒトラーに影響を与えたことで知られる。

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世界大百科事典内のパン・ゲルマン主義の言及

【チェンバレン】より

…のちバイロイトに居を移し,ワーグナーの娘エバと再婚,1916年にはドイツに帰化した。主著《19世紀の諸基盤》2巻(1899)で一種の人種主義的歴史哲学を展開したが,それは,J.A.deゴビノーの学説に負いながらアーリヤ人が未来のヨーロッパを担う真の文化創造力を持った人種だとするもので,第1次世界大戦に際してはドイツによるゲルマン民族圏の征覇を求めるパン・ゲルマン主義の主張となった。その人種主義はナチズムの思想的基盤となった。…

【ドイツ】より

…しかしこれら一連の政策は,それまで帝制の支柱として保護されてきた農業界の不安と反発を呼び,ユンカーの主導下に広範な農民層を結集した農業者同盟や,バイエルンの農民同盟など,農本主義的な運動がくりひろげられることとなる。
[ドイツ・ナショナリズムの帝国主義への傾斜]
 他方,全ドイツ連盟を中心とする帝国主義的ナショナリズムの運動(パン・ゲルマン主義)は,ドイツの世界経済への進出にともないドイツが世界強国として発展することをめざすものであり,なかでも艦隊協会は,皇帝ウィルヘルム2世,海相ティルピッツらの〈世界政策〉と相呼応しつつ,工業界と都市中間層を広く結集して発展した。こうした中で,世紀の変り目ころから,高度保護関税と艦隊建設とを軸とした〈結集政策〉が展開されるが,それは,いっそうの発展を遂げる社会主義労働運動に対抗して〈穀物と鉄〉の同盟を再編成するとともに,農本主義的ないし全ドイツ主義的な諸運動に結集した広範な中間層を体制へと統合して,帝国主義的世界政策の基盤を確保しようとするものであった。…

※「パン・ゲルマン主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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