パーセル

デジタル大辞泉 「パーセル」の意味・読み・例文・類語

パーセル(Henry Purcell)

[1659~1695]英国の作曲家。イタリアフランスの様式とエリザベス朝時代の多声音楽とを融合し、イギリスバロック音楽を創出。オペラ教会音楽など作品多数。

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精選版 日本国語大辞典 「パーセル」の意味・読み・例文・類語

パーセル

[一] (Edward Mills Purcell エドワード=ミルズ━) アメリカの物理学者原子核磁気モーメントの測定法を考案、液体や固体の物理的研究に新たな手がかりを与えた。一九五二年ノーベル物理学賞受賞。(一九一二‐九七
[二] (Henry Purcell ヘンリー━) イギリスの作曲家。一七世紀後半に活躍。特に劇音楽の作品により、イギリス‐バロック音楽の発展に尽くした。代表作はオペラ「ダイドーとイーニアス」。(一六五九‐九五

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百科事典マイペディア 「パーセル」の意味・わかりやすい解説

パーセル

英国のバロック音楽を代表する作曲家。音楽家の家系に生まれ,王室礼拝堂少年聖歌隊を経て1677年,18歳で王室弦楽合奏団付の常任作曲家となる。以後,王室音楽家の地位を歴任し,1679年にはウェストミンスター寺院のオルガン奏者に就任。王室の公式行事のための音楽を作曲する一方でロンドン市民のための創作活動にも力を入れ,劇作品や劇付随音楽,酒場で歌われた3〜4声部の輪唱曲〈キャッチ〉は広く人気を得た。劇音楽は40曲にのぼり,《ダイドーとイーニアス(ディドアエネアス)》(1689年)は英国人による初の本格的なオペラとして,また英国最高のオペラの一つとして今日まで評価が高い。ほかに,4曲の《聖セシリアの頌歌(しょうか)》やアンセムなどの宗教曲,2巻のトリオ・ソナタ集などの器楽曲などを残し,わずか36歳で早世した。その音楽の清新さは20世紀になって再評価されている。→バードブリテンヘンデル
→関連項目エルガーキリスト教音楽ピーターと狼ホルストホーンパイプ

パーセル

米国の物理学者。パーデュー大学ハーバード大学に学び,1941年―1945年放射線研究所でマイクロ波技術を研究。1949年ハーバード大学教授。1946年磁気共鳴による電波の吸収を利用し液体・固体試料の原子核の磁気モーメントを測定する方法を案出。独自に同じ方法を考案したF.ブロッホとともに1952年ノーベル物理学賞。

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改訂新版 世界大百科事典 「パーセル」の意味・わかりやすい解説

パーセル
Henry Purcell
生没年:1659-95

17世紀後半のイギリスが生んだ最大の作曲家。とくに劇音楽を得意とした。日本では,イギリス現代作曲家ブリテンが作った《青少年のための管弦楽入門--パーセルの主題による変奏曲フーガ》(1946)を通じて特にその名が知られているが,ブリテンが引用したのは,パーセルの劇的付随音楽《アブデラザール》の〈ロンド〉の主題である。

 パーセルは音楽家の家系に生まれ,少年時代にチャールズ2世の王室礼拝堂少年聖歌隊に入って教育を受ける。やがてイギリスを代表する作曲家として王室音楽家の地位を歴任し,王室の公式行事のための作品を作曲したが,そのかたわらロンドン市民の劇場のために多数の付随音楽を作曲し,酒場の輪唱曲キャッチを作曲するなどして広く親しまれた。作品の中では,友人プリーストの経営する女子高等学校のために作った3幕もののオペラ《ダイドーとイーニアス》(1689)が,今日まで残る最初の本格的なイギリス・オペラとして高い評価を保っている。その他《アーサー王》《テンペスト》などを含む劇的付随音楽40曲以上,《聖セシリアの頌歌》ほかの宗教曲,2巻のトリオ・ソナタ集,《音楽の侍女》と題した鍵盤曲集などがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パーセル」の意味・わかりやすい解説

パーセル
Purcell, Edward Mills

[生]1912.8.30. イリノイ,テーラービル
[没]1997.3.7. マサチューセッツ,ケンブリッジ
アメリカの物理学者。パーデュ大学,ハーバード大学に学び,ハーバード大学講師 (1938) ,助教授を経て教授 (49) 。第2次世界大戦中はレーダを研究。 1946年核磁気共鳴により液体や固体試料の中の原子核の磁気モーメントを測定する方法を確立し,この方面の先駆となった。また,52年宇宙空間の水素原子からの波長 21cmのマイクロ波を観測するなど,電波天文学に貢献した。 52年 F.ブロッホとともにノーベル物理学賞受賞。

パーセル
Purcell, Henry

[生]1659. ロンドン
[没]1695.11.21. ロンドン
イギリスの作曲家。 H.クック,P.ハンフリーらのもとで王室付属礼拝堂少年聖歌隊員として学び,1677年王室弦楽団の常任作曲家となり,79年からウェストミンスターのオルガン奏者,82年王室礼拝堂のオルガン奏者となった。主作品はアンセム,サービスなどの教会音楽,室内ソナタ,鍵盤楽曲のほか,オペラ『ディドーとエネアス』 (1689) ,生涯の最後の5年間に集中して作られた劇音楽 49曲など。

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「パーセル」の解説

パーセル

17世紀後半のイギリスを代表する作曲家。数多くのアンセムを作曲した。奇数の小節数からなるテーマやフレージングにみられる不規則性、拍子とリズムの衝突、楽想の展開などから、自由奔放さがうかがえる。鍵盤楽 ...続き

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「パーセル」の解説

パーセル Purcell, Theobald Andrew

1841-1877 イギリスの医師。
海軍軍医として明治4年(1871)来日。工部省にやとわれ,鉄道工事ではたらく外国人の治療にあたる。のち横浜ゼネラル-ホスピタル(現ブラフ-クリニック)につとめた。明治10年8月20日横浜で死去。36歳。

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世界大百科事典(旧版)内のパーセルの言及

【イギリス音楽】より

…また歴史的に起伏の激しいこともその特徴で,黄金時代と呼べるような隆盛期がいくつかある一方,その間にほとんど空白に近い沈滞期が続くという極端な展開を示している。すなわち黄金時代としては,第1にダンスタブルJ.Dunstable(1390ころ‐1453)を中心とする中世からルネサンスへの転換期,第2にタリスT.Tallis(1505ころ‐85),W.バード,J.ダウランド,O.ギボンズらの手によって声楽,器楽の両分野において目覚ましい展開が見られたチューダー朝とそれに続くジェームズ1世時代,第3にパーセルを中心とする王政復古時代,そして第4にボーン・ウィリアムズからブリテンにいたる現代を挙げることができる。またこのほかに例外的なケースとして18世紀前半におけるヘンデルの活躍がある。…

※「パーセル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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