パーマー(Samuel Palmer)(読み)ぱーまー(英語表記)Samuel Palmer

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

パーマー(Samuel Palmer)
ぱーまー
Samuel Palmer
(1805―1881)

イギリスの画家、版画家。ロンドンに生まれ、初めはターナーの風景画の強い影響を受けた。1824年、J・リネルの紹介で知り合ったブレイクの影響で生来の神秘的傾向を強め、セピアの硬質な線描による宗教的な風景画を制作。27年にはケント州ショーラムに移り、キリスト教象徴に満ちた幻想的な田園風景水彩やセピアで描いた。彼のもとを訪れるG・リッチモンドやE・カルバートなどは、古代詩人や芸術家への関心から自分たちを「ジ・エインシェンツ(古代人)」とよんだ。39年以降ロンドンに戻り、しだいに古典的な作風をみせるようになったが、彼の作品の最良のものは、20年初頭からショーラム滞在時代に描かれた透明感のある風景画にあった。

[谷田博行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android