コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ヒッパルコス[ニカイアの] Hipparchos

世界大百科事典 第2版の解説

ヒッパルコス[ニカイアの]【Hipparchos】

前190ころ‐前125ころ
ギリシア天文学者地理学者ニカイアに生まれた。彼の著作は今日ほとんど伝わらず,主として,プトレマイオスの《アルマゲスト》のなかでの言及によって,その考えを知ることができるのみである。ロードス島で天文観測に従事したらしく,そのデータとバビロニア天文学の遺産とを利用しながら,数学的計算によって,恒星太陽,月,惑星の運動に関してさまざまな新しいアイデアを提案した。 円の弧と弦の長さとの関係を表す〈弦の表〉(一種の正弦関数表)を発案したことはよく知られているが,これを用いて,月,太陽までの距離の計算を行い,あるいは,太陽の軌道の中心から離れたところに地球を置く〈離心円〉の仮説を提案するなど,《アルマゲスト》の先駆となる着想の多くが彼に帰せられている。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のヒッパルコス[ニカイアの]の言及

【宇宙】より

… 古くから太陽系外の天体すなわち恒星は,惑星などの動きの背景として天球に配置された光点にすぎなかった。ギリシア時代にも,ニカイアのヒッパルコスのように恒星の明るさの等級を定め,1028個の恒星の位置を測定して星表を作成した学者もいたが,これは例外で,恒星がようやく注目されだしたのは17世紀に入って太陽系の正しい姿が明らかにされようとするころになってである。 変光星ミラの観測(1596),ケプラーによる超新星の観測(1604)などに続き,E.ハリーによる恒星の固有運動の発見(1717)によって,恒星が天球に固定された光点ではなく独立した天体であるという考えが確立した。…

【月食】より

…また,月食の進(しんちよく)の状況は地球のどこから見ても同じであるので,これを利用すれば,遠隔の2地点間の経度差を測定することができる。このアイデアは前2世紀のヒッパルコス(ニカイアの)のものとされているが,実際には,17世紀から18世紀の初めにかけて経度を決定するもっとも実用的な方法となった。ただし,月面上での明暗の境界は明りょうでないため,その決定精度は±0.゜1程度にとどまっている(図)。…

【歳差】より

…地球の歳差運動によって起こる太陽年(回帰年)と恒星年の1年の差,または〈こま〉や地球の歳差運動のこと。 ニカエアのヒッパルコス(前190ころ‐前125ころ)は自分の恒星位置の観測と,150年前のアレクサンドリアのティモカリスの観測とを比較して,その位置の変化に気がついた。黄緯は一致していたが,すべての星の黄経が約2゜減っていたので,これは黄経の基準にとった春分点が,150年間に2゜ほど逆行(天球上で東から西に進むこと)したためと考え,春分点の移動を毎年約46″(真の値は50″.29)とした。…

【三角法】より

…三角法も元来この問題から起こったのであり,歴史的には天文学上の応用から始まったので,球面三角法のほうが平面三角法より先行した。古代のエジプト,バビロニア,中国にも三角法の芽生えが見られるが,前150年ころのギリシアのヒッパルコス(ニカエアの)が三角法の創始者といわれている。現在の三角法の形式はドイツのレギオモンタヌスRegiomontanus(1436‐76)によるといわれ,その諸定理はJ.ネーピア,J.ケプラーを経て,L.オイラーに至って整備されたものである。…

【天文学】より

…こうしたエウドクソスの説はその後も若干の追随者が出たが,地球からみた天体の大きさの変化を説明することができなかった。前2世紀にはギリシア最大の天文学者ヒッパルコスが現れ,みずからも観測を行うと同時に,円運動の組合せとして天体の運動を説明した。地球を中心とする大円上を等速度で動く小円(周転円)があり,この小円上を太陽が等速度に動くとし,この2円の組合せにより太陽の運動,したがってその位置をかなり正確に予報することができた。…

【天文台】より

…中東地域のメソポタミアでも,前十数世紀から天体観測がなされ,有名なバベルの塔は,その頂上で神官たちが天体を観測した天文台であったという説もある。前6世紀以降の約800年間は,ギリシアで科学的な宇宙論が花を開いた時期であるが,当時のギリシアの天文学者の中で,天体観測の第一人者であったヒッパルコスは,エーゲ海上のロドス島に天文台を作って観測に励んだということである。前150年ころ,彼は長年の恒星位置の観測から,歳差運動を発見している。…

※「ヒッパルコス[ニカイアの]」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

ヒッパルコス[ニカイアの]の関連キーワードデメトリオス2世宦官山形県の要覧プロボクシングの階級広島東洋カープクレメンス[アレクサンドリア]公孫氏政権リン酸アンモニウム漢の時代(年表)ヒッパルコス

今日のキーワード

ラニーニャ現象

《La Niña events》赤道付近のペルー沖から中部太平洋にかけて、数年に1度、海水温が平年より低くなる現象。低下する温度差はエルニーニョ現象での上昇温度差より一般的に小さい。→ダイポールモード...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android