ヒナギキョウ(読み)ひなぎきょう

改訂新版 世界大百科事典 「ヒナギキョウ」の意味・わかりやすい解説

ヒナギキョウ (雛桔梗)
Wahlenbergia marginata (Thunb.) A.DC.

キキョウ科の小型の多年草日当りのよい草むらに生え,紫色で径5mmほどの小さなかわいい花が咲く。茎は高さ20~40cm,下方から分枝して株立ちになる。葉は互生し,細長く,長さ2~4cm,幅3~8mm,学名marginataのように白色にふちどられて厚くなっている。花は茎頂に1~数個がまばらに生じ,上向きで長い柄がある。花冠は漏斗形で長さ5~8mm,5深裂し,裂片は開出する。萼裂片は長さ2~3mm,宿存する。子房下位果実は先端で裂開する。花期は5~8月。関東地方から沖縄まで暖帯に分布し,台湾や中国,さらにニューカレドニア島や南太平洋諸島にまで分布する。

 ヒナギキョウ属Wahlenbergiaには約100種が知られているが,多くは南半球に分布し,アジア大陸には少ない。日本にはただ1種のみ。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒナギキョウ」の意味・わかりやすい解説

ヒナギキョウ
ひなぎきょう / 雛桔梗
[学] Wahlenbergia marginata (Thunb.) A.DC.

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)の多年草。茎は高さ20~40センチメートル。葉は互生し、披針(ひしん)形またはへら形。5~7月、枝先に青紫色花を1個上向きに開く。花冠は鐘形、先は5裂する。名は、全体がキキョウに似るが、小形であることによる。丘陵野原道端に生え、関東以西の本州から沖縄、および朝鮮半島、中国、東南アジア、北アメリカにまで広く分布する。

 ヒナギキョウ属は小形の草で、柱頭は2~5裂し、裂片は幅が狭い。世界に約260種、日本には本種のみが分布する。

[高橋秀男 2021年10月20日]

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