ヒューストン(アメリカ合衆国)(読み)ひゅーすとん(英語表記)Houston

翻訳|Houston

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ヒューストン(アメリカ合衆国)
ひゅーすとん
Houston

アメリカ合衆国、テキサス州南東部、ハリス郡の郡都で、商工業都市。人口195万3631、大都市圏人口466万9571(2000)。テキサス州最大の都市である。メキシコ湾から約80キロメートル内陸に位置するが、ガルベストン湾を通りメキシコ湾とつながるヒューストン・シップ水路に面しており、ヒューストン港の取扱いトン数は全米3位である。年間約5500隻の船が入港し、世界の約250の港と結び付いている。ヒューストンの最大の産業は石油化学工業であり、市内には巨大な精油施設が並び、全米の石油化学の50%、合成ゴムの80%を生産する。この石油化学産業の基盤は、周囲に広がる大油田地帯である。また、天然ガスの産出量も多い。石油化学のほかに、機械製造、宇宙産業、電気器具、造船製紙などの工業が発達している。周辺は農業地帯でもあり、ヒューストンはその農産物集散地として、食肉加工綿花工場などがある。

 1823年に現在ヒューストンの一部となっているハリスバーグ定住が開始され、36年にヒューストンが建設された。ヒューストンという地名は、テキサスがメキシコと独立戦争を戦ったときのテキサスの将軍S・ヒューストンにちなむ。ヒューストンは1837~39年にテキサスの首都であった。1850年代にテキサス地方の鉄道網の中心となり、19世紀後半は綿花の集散地として発展したが、1901年に周辺地域で油田が発見されてから急速に成長した。1914年にはメキシコ湾とヒューストン港を結ぶ水路が改修され、その後、沿岸の石油の開発によっていっそう発展した。油田地帯の天然ガス、硫黄(いおう)、岩塩、石灰石も石油化学工業発展の基礎となった。また、1961年にヒューストンの郊外NASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)の有人宇宙船センター(のちにジョンソン宇宙センターと改称)が設置され、周辺地域に電子工学をはじめとする宇宙産業が発達した。市内には主要石油会社の本社が集中する。教育関係では、ライス大学、テキサス・サザン大学、ヒューストン大学などがある。市の南部にあるテキサス・メディカル・センターは、約90ヘクタールの面積に23の病院と研究所、二つの医科系大学があり、2万6000人の人々が働き、年間150万人を治療する。またスポーツ施設では、開閉式のドーム球場ミニッツメイドパークが有名である。

[菅野峰明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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