ヒヨクドリ(英語表記)Cicinnurus regius; king bird-of-paradise

改訂新版 世界大百科事典 「ヒヨクドリ」の意味・わかりやすい解説

ヒヨクドリ (比翼鳥)
king bird of paradise
Cicinnurus regius

スズメ目フウチョウ科の鳥。全長約16cm(雄では長い尾を含む全長は約31cm)。雄は,頭頸とうけい)部,背,翼,尾は鮮やかな赤色,腹は白い。胸部には緑色横帯がある。上胸の側部には小さな扇形飾羽があり,この飾羽は基部が灰色で先端には胸部の横帯によく似た緑色の横帯がある。尾羽は中央の2枚が針金状に長くのび,先端部分は緑色でやや幅が広く,うず巻いて円盤状になっている。雌の羽色はじみで,頭上から背,翼上面,尾は褐色,胸腹部は黄褐色で濃褐色の細い横帯がある。ニューギニア本島のほぼ全域の低山帯とその付属の島々アルー諸島とヤーペン島に分布し,森林に生息する。繁殖期にはそれぞれの雄がかなり葉の繁茂している高木の枝上で飾羽を目だたせてディスプレーを行い,雌をひきつけて交尾をする。また大きな声でよく鳴く。この鳥は,フウチョウ類のなかでは樹洞に営巣する唯一の種である。抱卵,育雛(いくすう)は雌のみが行う。日本には,飼い鳥および剝製としてかなり古くから渡来している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒヨクドリ」の意味・わかりやすい解説

ヒヨクドリ
Cicinnurus regius; king bird-of-paradise

スズメ目フウチョウ科。全長 16cm(針金状の尾羽を除く)。雄は頭部,胸,背,,尾が美しい紅色で,下胸に黄色と緑色の帯があり,腹は白い。胸には扇状の飾り羽があり,2本の尾羽の羽軸は針金状に伸び,先端にのみ緑色の羽(羽弁)があって内側に巻いている。雌は全身がほとんど褐色で,腹面には淡い暗色の横縞がある。脚は雌雄ともコバルト色。雄は樹上で,胸の飾り羽と尾羽を立ててどちらも扇のように広げ,さらに先端に羽のついた針金状の 2本の尾羽も立て,鳴き声を発しながら体を震わせてディスプレイを行なう。ときには枝に逆さにぶら下がりながらこの行動を見せる。ニューギニア島と周辺の島の森林に生息する。かつては飼鳥として日本にまれに入って来たが,今日では保護のためニューギニア島からの移出が禁止されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒヨクドリ」の意味・わかりやすい解説

ヒヨクドリ
ひよくどり / 比翼鳥
king bird-of-paradise
[学] Cicinnurus regius

鳥綱スズメ目フウチョウ科の鳥。ニューギニア島の低地の森林に広く分布する。全長約14.5センチメートルであるが、雄の中央尾羽は線状でさらに10センチメートル以上長く伸びている。雌雄異色で、雄の上面は赤く胸腹面は白くて、胸側には扇形の飾り羽があって求愛行動の際にはそれを広げる。雌はじみな茶褐色である。フウチョウ類のなかでもっとも古くからヨーロッパに知られていたものの一つである。

[浦本昌紀]


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百科事典マイペディア 「ヒヨクドリ」の意味・わかりやすい解説

ヒヨクドリ

オウフウチョウ(王風鳥)とも。フウチョウ科の鳥。いわゆるゴクラクチョウの一種で,大きさはムクドリくらい。雄は背面深紅色,上胸に金緑色の横帯がある。雌は暗褐色。ニューギニアに分布し,森林にすむ。

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