ヒル(蛭)石(読み)ひるいし

改訂新版 世界大百科事典 「ヒル(蛭)石」の意味・わかりやすい解説

ヒル(蛭)石 (ひるいし)
vermiculite

急熱するとヒルのようにのびる鉱物で,黒雲母,金雲母,バーミキュライトの中間型である。黒雲母および金雲母が加水分解して生じる。とくに,花コウ岩の風化などによって構成鉱物の黒雲母が分解してカリウムが溶脱し,水分が加わって加水黒雲母となった場合にこの名称で呼ぶ。層状組織をなす結晶構造の底面方向の間隔が,加水作用のため黒雲母の10Åより約14Åに膨張したものである。成分はほぼ(Mg,Fe)3[(Si,Al)4O10](OH2・4H2O,単斜晶。白色褐色で六角板状の形態を示す。比重2.7,モース硬度1.5。花コウ岩の風化物より拾い出した小片を加熱すると板状方向に垂直な方向に数倍の体積の膨張を行う。焼成膨張物はバーミキュライト膨張物と同様に,断熱材,防音材などに利用される。
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百科事典マイペディア 「ヒル(蛭)石」の意味・わかりやすい解説

ヒル(蛭)石【ひるいし】

雲母,緑泥石,滑石に近い鉱物で六角板状の形をもち,火中に投ずるとヒルのように長く膨張するもの。これはケイ酸の層の間に含まれた水分が沸騰に似た現象で間隔を押し広げるために起こる。米国モンタナ州,南ア共和国パラボラが世界の2大産地。日本では黒雲母の風化したものを称し,福島県で採掘。断熱材・防音材に,また焼成して園芸用土に用いられる。なお,バーミキュライトがヒル石の同義語として用いられることもある。

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