ビジャープール王国(読み)びじゃーぷーるおうこく(英語表記)Bijāpūr

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビジャープール王国」の意味・わかりやすい解説

ビジャープール王国
びじゃーぷーるおうこく
Bijāpūr

インド、デカン地方南部のビジャープールを首都としたムスリム王朝(1489~1686)。アーディル・シャーヒー王国ともよばれる。デカン地方に最初に成立したムスリム王朝であるバフマン朝が15世紀末に分裂してできた、いわゆるデカン・ムスリム五王朝の一つである。ビジャープール王国は他のムスリム諸王国と連合して南のビジャヤナガル王国を破り、領土をさらに南方に拡大していった。1640年代以降、ビジャープール王国に仕えた有力なマラータ武将シャーハジーの息子シバージーが独立の動きをみせ始め、王国は内部に分解の芽をもつようになった。そのうえ、北からはムガル帝国が南進し始めていた。これらの内外の動きによって弱体化したビジャープール王国は、1686年ついにアウランゼーブ帝の率いるムガル帝国軍によって滅ぼされた。ビジャープール市には今日でもこの王朝時代の遺構が多く残されている。

[小谷汪之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android