ビリアート(読み)びりあーと(英語表記)Viriato

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビリアート」の意味・わかりやすい解説

ビリアート
びりあーと
Viriato
(?―前139)

イベリア半島征服を進める古代ローマ軍に抵抗したイベリア先住民の指導者。現在のポルトガル中部に住んでいたルシタニア人の出身。グアダルキビル川流域の穀倉地帯を略奪するルシタニア人の制圧に踏み切ったローマ軍に対して、ルシタニア人社会の平民層を結集し、紀元前147年ごろから地の利を生かしたゲリラ戦を展開して幾度かローマ軍に大きな損害を与え、窮地に追い込んだ。ローマ軍は和平交渉を呼びかける一方で、ルシタニア人の指導層の懐柔を図ってビリアートをしだいに孤立化させ、最後は彼の部下3人を買収して、暗殺した。彼の死後、ルシタニア人の抵抗は収まり、ローマの支配圏は一気にミーニョ川流域にまで北上した。

[小林一宏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android