日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ピアノ(Renzo Piano)
ぴあの
Renzo Piano
(1937― )
イタリアの建築家。ジェノバに生まれ、ミラノ工科大学で建築を学ぶ。1970年同じイタリア生まれの建築家で、後にロイズ・オブ・ロンドン(1986)の設計者として広く知られることになるリチャード・ロジャーズと共同で設計事務所を開く。1971年パリを舞台とした国際的な設計競技において、彼らが応募した特異なハイテク系デザインの計画案が当選し、一躍注目を集める存在となった。この作品が、1977年パリに完成したポンピドー・センターである。構造技術面ではオブ・アラップが協力した。その後、ピアノはロジャーズと別れ、ピーター・ライスPeter Rice(1935―1992)などと共同で活動した後、自らのアトリエを主宰した。1986年米国ヒューストンにメニルコレクション美術館を完成させた。1989年(平成1)関西国際空港の開設に伴う旅客ターミナルビルの国際的な指名設計競技において最優秀作品となった。ターミナルビルは1994年に完成し、開港した。ピアノのデザインに特有の工業的でありながら軽快柔軟な構造体を、空間表現の根幹にすえて建築の利用者を圧迫感なくつつみこむ手法は、トリノのフィアット工場増改築(1993)、ジェノバの都市鉄道駅舎群(1994)などの作品において終始一貫している。
[長谷川堯]
『二川幸夫著『GAアーキテクト14 世界の建築家』(1997、エーディーエー・エディタ・トーキョー)』