日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピウス(12世)」の意味・わかりやすい解説
ピウス(12世)
ぴうす
Pius Ⅻ
(1876―1958)
第261代ローマ教皇(在位1939~1958)。ピオ12世ともいう。前名はパチェーリEugenio Maria Giuseppe Pacelli。イタリア人。司祭になったのち、とくに教会法と外交を専攻。第一次世界大戦後、駐独教皇大使。1925年から1935年に対独政教条約締結。1929年枢機卿(すうききょう)、1930年バチカン市国の国務長官に就任。1939年教皇に選出される。敬虔(けいけん)な信仰と高貴な人格に加え、天才的な頭脳の持ち主として多方面に指導力を発揮した。とくに共産主義を排斥し、大戦で荒廃した世界をキリストの愛と正義に基づく新秩序で復興しようとした。「現代世界における国家」(1939)、「平和と社会の混乱」(1947)の回勅などによって、「平和の法王」といわれた。
[越前喜六 2017年12月12日]
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