日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ピカール(Émile Picard)
ぴかーる
Émile Picard
(1856―1941)
フランスの数学者。パリ生まれ。トゥールーズ、パリの各大学で教鞭(きょうべん)をとる。1889年科学アカデミー会員、1917年にはその終身書記長となる。また1924年にはアカデミー・フランセーズ会員に選ばれた。ピカールは1879年に「超越整関数はたかだか一つの値を除いてすべての複素数値をとること」を示し、これがボレル、アダマール、バリロンG. Valiron(1884―1955)らを経て、ネバンリンナR. Nevanlinna(1895―1980)の「有理型関数の値分布理論」に発展した。また微分方程式の解法としての逐次近似法の有効性を多くの例によって示した。さらに「線形常微分方程式に対して代数方程式に関するガロアの理論にあたる理論」をつくった。なお「二変数代数関数」を研究して、シマールG. Simart(1882―1971)との共著『Théorie des fonctions algébrique de deux variables indépendantes』全2巻(1897、1906)を著した。
[吉田耕作]
[参照項目] |
| |