ピサーノ(Giovanni Pisano)(読み)ぴさーの(英語表記)Giovanni Pisano

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ピサーノ(Giovanni Pisano)
ぴさーの
Giovanni Pisano
(1248ころ―1314以後)

イタリアの彫刻家、建築家。ニコラ・ピサーノの息子で、シエナ大聖堂説教壇(1265~68)やペルージアの大噴水盤(1277~78)の制作に際し、弟子たちとともに父に協力。その後ふたたびシエナに赴き、1285~96年に大聖堂主任建築家の資格でファサードの設計(下部半分)と、それを飾る一連の彫像制作に従事した。これにはフランス・ゴシック彫刻の影響が指摘されうるため、確証はないが、彼はフランスを訪れたことがあるに相違ないという主張もなされている。1301年完成の代表作、ピストイアのサン・タンドレア聖堂の説教壇にみる劇的な物語表現は、すこし遅れて登場する大画家ジョットにより絵画の領域に敷衍(ふえん)されていく。そして、10年に完成された彼の最後の大作ピサ大聖堂の説教壇では、人像柱に円熟した彼の技法が示されるのに対し、浮彫りの部分はほとんど弟子たちの手になるものとされている。

[濱谷勝也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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