ピロガロール(英語表記)pyrogallol

翻訳|pyrogallol

精選版 日本国語大辞典 「ピロガロール」の意味・読み・例文・類語

ピロガロール

〘名〙 (pyrogallol) 没食子酸(もっしょくしさん)を水と加圧下で加熱して得られる白色針状結晶化学式は C6H3(OH)3 防腐剤・分析用試薬として用いられる。焦性没食子酸。〔外来語辞典(1914)〕

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デジタル大辞泉 「ピロガロール」の意味・読み・例文・類語

ピロガロール(pyrogallol)

没食子酸もっしょくしさんを熱して得られる白色の針状結晶。そのアルカリ性溶液は酸素を吸収するので、ガス分析などに利用。また還元性が強いので、写真現像液や分析試薬などに用いる。化学式C6H3(OH)3 焦性没食子酸。

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改訂新版 世界大百科事典 「ピロガロール」の意味・わかりやすい解説

ピロガロール
pyrogallol


1,2,3-トリヒドロキシベンゼンにあたる。焦性没食子酸ともいう。白色結晶,融点131~133℃,沸点309℃。ゆっくり加熱すると昇華する。水,アルコールエーテルによく溶けるが,ベンゼン,クロロホルム二硫化炭素には少ししか溶けない。金,銀,水銀の塩を還元して金属を沈殿させ,酢酸鉛との反応では白色沈殿を生ずる。水溶液,とくにアルカリ性水溶液は,空気に触れると酸素を速やかに吸収し暗褐色となる。そのためアルカリ水溶液は酸素の除去に,またこの反応が定量的に進むことからガス分析の酸素の定量にも用いられる。防腐性があるので医薬品として皮膚病の治療に用いられる。そのほかアンチモンビスマス検出,定量にも用いられる。没食子酸を加熱,脱炭酸して合成する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピロガロール」の意味・わかりやすい解説

ピロガロール
ぴろがろーる
pyrogallol

多価フェノールの一つ。1,2,3-トリヒドロキシベンゼンのこと。焦性没食子酸(しょうせいぼっしょくしさん/もっしょくしさん)という慣用名もある。天然にはそのままの形で、あるいはタンニンの成分として糖と結合した形で広く植物体に含まれる。タンニン酸の加水分解により得られる。白色の針状結晶。還元性が強く、そのアルカリ性水溶液は酸素を速やかに吸収して反応し暗褐色を呈するので、かつては気体中の酸素の分析のために利用した。アンチモンやビスマスの検出試薬としても利用される。水溶液は鉄(Ⅲ)塩で青色を示す。水、エタノールエチルアルコール)、エーテルなどにはある程度溶解するが、ベンゼンや石油系の炭化水素にはほとんど溶けない。毒性があるので、皮膚に触れさせないこと。

[徳丸克己]

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化学辞典 第2版 「ピロガロール」の解説

ピロガロール
ピロガロール
pyrogallol

1,2,3-benzenetriol.C6H6O3(126.11).焦性没食子酸ともいう.没食子酸を加圧下に水と175 ℃ に加熱脱炭酸すると得られる.結晶.融点133 ℃,沸点309 ℃.1.453.昇華しやすい.水,エタノール,エーテルなどに可溶.還元力がきわめて強い.ガス分析における酸素吸収剤,写真の現像薬,分析用試薬として金,銀,水銀などの金属の沈殿剤,さらに防腐剤,媒染剤,染料合成原料として使用される.LD50 789 mg/kg(ラット,経口).[CAS 87-66-1]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピロガロール」の意味・わかりやすい解説

ピロガロール
pyrogallol

焦性没食子酸ともいう。1,2,3-トリオキシベンゼンのこと。没食子酸を熱分解して得られる無臭の無色針状晶。融点 131~133℃。昇華性。空気と光によって酸化され,灰色になる。アルカリ性水溶液中ではさらに酸化されやすく,空気を通すと酸素を吸収して暗褐色になる。防腐性,局所刺激性の軟膏,写真の現像 (有毒なため現在は使われない) ,染料製造,分析試薬 (たとえば第二鉄塩で青色,放置すると褐色) ,酸素除去剤に用いられる。

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百科事典マイペディア 「ピロガロール」の意味・わかりやすい解説

ピロガロール

1,2,3−トリヒドロキシベンゼンC6H6O3。焦性没食子酸とも。無色の結晶。融点131〜133℃,沸点309℃。水,エタノールに易溶。還元性が強く,アルカリ性水溶液は酸素を吸収する。塩化第二鉄溶液により赤色,塩化第二鉄を含む硫酸第一鉄溶液により青色を示す。軟膏材料,写真現像薬などに使用。没食子酸を水と加圧,加熱してつくる。(図)

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栄養・生化学辞典 「ピロガロール」の解説

ピロガロール

 C6H6O3 (mw126.11).

 焦性没食子酸ともいう.化学分析や工業用に使われる.

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