ファブリキウス(英語表記)Fabricius ab Aquapendente, Hieronymus

精選版 日本国語大辞典 「ファブリキウス」の意味・読み・例文・類語

ファブリキウス

(Hieronymus Fabricius ヒエロニムス━) イタリア解剖学者。パドバ大学解剖学教授。一六〇三年静脈弁を発見比較発生学研究を行ない、外科診療の発達に貢献した。(一五三七‐一六一九

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改訂新版 世界大百科事典 「ファブリキウス」の意味・わかりやすい解説

ファブリキウス(アクアペンデンテの)
Fabricius ab Aquapendente
生没年:1537-1619

イタリアの解剖学者。イタリア名Girolamo Fabrizio。パドバ大学で,G.ファロピオのあとをついで,1565年に解剖学教授となった。1603年静脈弁を発見して精細に図説し,その作用を述べた。自ら設計して造らせた円形階段解剖講堂は他の大学の模範となり,現在も残されている。比較解剖学発生学業績もあり,外科医でもあった。血液循環を発見したW.ハーベーの師である。
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ファブリキウス(ヒルデンの)
Guilhelmus Fabricius Hildanus
生没年:1560-1634

ドイツの外科医。ドイツ名Wilhelm Fabry von Hilden。デュッセルドルフに近いヒルデンに生まれ,ケルン高等教育を受けたあと,床屋外科で修業し,ついで外科医スロットKosmas Slotの助手となった。多くの解剖で科学的医学知識を深め,ケルン,ローザンヌ,ベルンで開業した。止血帯,外科器械などを考案し,白内障その他の手術を開発した。多くの著書があり,“ドイツの外科の父”とよばれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファブリキウス」の意味・わかりやすい解説

ファブリキウス
Fabricius ab Aquapendente, Hieronymus

[生]1537.5.20. アクァペンデンテ
[没]1619.5.21. パドバ
イタリアの解剖学者。イタリア名ジェロニモ・ファブリチオ Geronimo (Gilolamo) Fabrizio (Fabrici)。外科医で近代発生学の先覚者。パドバ大学に学び,師の G.ファロピウスの跡を継いで 1562年に教授。発生学を初めて比較解剖学の立場から研究。咽頭が発声器官であることや,瞳孔が光によって大きさを変えることなど,いくつかの新事実を発見しているが,特に静脈に弁があり,心臓に向かう血液の逆流を防いでいることを発見し,弟子 W.ハーベイの血液循環論の創造に影響を与えた。

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世界大百科事典(旧版)内のファブリキウスの言及

【ファブリキウス囊】より

…幼若期の鳥類において,総排出腔のすぐ内側の背側にみられる囊状構造のリンパ組織。イタリアの解剖学者ファブリキウスが1621年に記載(死後公刊)したので,この名がある。ファブリキウス囊は鳥類だけにみられ,鳥類の抗体産生能の発達に不可欠な役割を果たしている。…

※「ファブリキウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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