化学辞典 第2版 「ファンヘルモント」の解説
ファンヘルモント
ファンヘルモント
van Helmont, Johannes Baptista
現在のベルギーで活躍した医師,化学者.ルーベン(ルーバン)大学で教育を受けるがこれに満足せず,後年まで医学博士の学位を受けることを拒否した.結婚後,本格的に自然研究に専念し,化学を自然の秘密を解く鍵とみなして実験や観察にその基礎を求めた.なかでも金属の比重値や尿分析の手法,温度測定,化学反応における重量の不変性などの定量分析において多くの業績を残している.植物が水によって成長することを証明した“柳の実験”がもっとも有名である.ただし,T.P.A.B.H. Paracelsus(パラケルスス)からの影響が大きく,かれの“硫黄・水銀・塩”説を独自に解釈したり,また負傷を与えた武器に処置をほどこせば負傷した人間が治るとされた“武器軟膏”を認めたことから,異端審問にかけられ下獄させられるなどした.そのため,主著“医学原典”Ortus medicinaeは,死後になって,かれの息子によって出版されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報