フェミニティ・コントロール(読み)ふぇみにてぃこんとろーる(英語表記)feminity control

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フェミニティ・コントロール
ふぇみにてぃこんとろーる
feminity control

女性のみで行われる競技に参加する選手に対し、確かに女性であるか否かを事前にチェックする医学的検査。一般的にはセックス・チェックsex checkのことばで知られている。男女の競技能力、成績を比べると、明らかに男性のほうが優位である。医学的にいえば、男性ホルモンのもつタンパク同化作用が骨格および筋肉の発達に大きく関係しているからで、血液中の性ホルモンの男女差を比べると、男子は女性ホルモン1に対し、男性ホルモンは7を有している。女子は女性ホルモン1に対し、男性ホルモンは2の割合である。ところが性の判定は、出生時の外性器の観察で決められている。男女の性は受精時に決定され、それぞれの性染色体構成により性腺(せいせん)原基が分化(男子は睾丸(こうがん)、女子は卵巣)するが、その過程で異常が生じ、男性腺を有しながら、尿道下裂や中間型のため女性と誤認されて育てられてしまうケースがある。これを男性半陰陽というが、思春期になると、男性ホルモンの分泌が盛んとなり、正常な女性よりは優れた体力をもつことになる。当然競技能力も優秀で、代表選手になる率も多い。この不公平を防ぐテストであるが、口腔(こうくう)(頬部(きょうぶ))粘膜細胞あるいは頭髪毛根細胞による性染色体検査(細胞の染色体は2種類X、Yがあり、XXなら女性、XYなら男性)で、X染色体が極端に少なかったり、Y染色体が多ければさらに精密検査が行われる。オリンピックでは、1968年のメキシコ大会から行われている。

[石井恒男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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