フォード(Gerald Rudolph Ford)(読み)ふぉーど(英語表記)Gerald Rudolph Ford

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フォード(Gerald Rudolph Ford)
ふぉーど
Gerald Rudolph Ford
(1913―2006)

アメリカ合衆国第38代大統領(在任1974~1977)。ネブラスカ州オマハ生まれ。母親の再婚によりミシガン州グランド・ラピッズで育つ。ミシガン大学ではフットボールの選手、エール大学で同コーチをつとめながら法律を専攻。第二次世界大戦では海軍に勤務、のち郷里で弁護士を開業。1948年共和党から下院議員に当選、13期務める。保守派に属し、1965年から党の下院院内総務。さしたる立法の業績もなく、下院議長となることが見果てぬ夢であったが、1973年副大統領アグニューが汚職で辞任したあと初の任命による副大統領となり、さらに翌1974年8月ウォーターゲート事件で辞任したニクソンの後を受け大統領に昇格。アメリカ史上最初の「選挙の洗礼を受けない大統領」である。誠実な人柄で国民の政治への信頼を取り戻したかにみえたが、就任1か月後ニクソンに恩赦を与えたため人気は急落。経済不況とベトナムでの敗北により威信を落としたが、1975年5月にアメリカ船がカンボジア拿捕(だほ)された「マヤグエス号事件」で乗組員救出に強硬策をとりタカ派ぶりを示した。1974年(昭和49)11月現職アメリカ大統領として初めて訪日。1976年の大統領選でカーターに惜敗して再選はならなかった。ニクソン恩赦が命取りになったといわれる。

袖井林二郎

『バッド・ヴェスタル著、新庄哲夫・杉原素明訳『フォード大統領 知られざる素顔』(1974・講談社)』『関西テレビ放送編『フォード回顧録』(1979・サンケイ出版)』


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