フカウラヒドラ(読み)ふかうらひどら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フカウラヒドラ」の意味・わかりやすい解説

フカウラヒドラ
ふかうらひどら / 深浦水
[学] Fukaurahydra anthoformis

腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱ヒドロイド目オオウミヒドラ科に属する海産動物。単生で群体をつくることはない。体は比較的大形で、ヒドロ花と短いヒドロ茎とからなり、高さ2センチメートルほどに達し、下端浅海岩石に付着している。ヒドロ花は平盤状、直径1センチメートルほどで、中央の口丘(こうきゅう)の先端に口が開き、口丘上には70~90本の糸状触手が数環、列をなして生じている。また、ヒドロ花の周縁部には180本ほどのより長い糸状触手がみられる。生殖腺(せん)はヒドロ花上の二つの触手群の間に生ずる。子茎は4~9本で、おのおのの子茎に5~17個の生殖体が房状に発達する。雌雄異体である。ヒドロ花に続くヒドロ茎は下方へ向けて細まり、中実で、下端に根状の突起をもつ。子茎および生殖体の柄は紅橙(こうとう)色、生殖体は緑色で、体全体としてきわめて美しい。青森県深浦(ふかうら)で初めて発見されたが、その後北海道忍路(おしょろ)でもみいだされている。

[山田真弓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android