日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フランク(Il'ya Mihaylovich Frank)
ふらんく
Илья Михайлович Франк/Il'ya Mihaylovich Frank
(1908―1990)
ソ連の物理学者。数学教授の息子としてレニングラード(サンクト・ペテルブルグ)に生まれる。モスクワ大学のバビロフSergei I. Vavilov(1891―1951)のもとで学び、1930年卒業。翌1931年よりソ連の国立光学研究所の上級科学研究員、1934年にソ連科学アカデミー(現、ロシア科学アカデミー)のレーベデフ物理学研究所の研究員、1941年より原子核研究室の責任者、1957年より同時に原子核連合研究所の主任を兼任した。彼の最初の研究は、光ルミネセンスと光化学であった。1934年以来、原子核反応の研究に転じ、γ(ガンマ)線による対生成(pair creation)およびγ線の測定と応用、中性子、核分裂の実験的研究をした。理論研究としてバビロフ‐チェレンコフ効果の研究を行い、その業績により、1958年、タム、チェレンコフとともにノーベル物理学賞を受賞した。
[佐藤 忠]
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