日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フルトベングラー(Adolf Furtwängler)
ふるとべんぐらー
Adolf Furtwängler
(1853―1907)
ドイツの考古学者、美術史学者。著名な指揮者ウィルヘルムの父。ギリシアのオリンピア遺跡の発掘調査に参加、さらにベルリンの博物館で研究を続け、ベルリン大学、ミュンヘン大学などで教授、並行してミュンヘン古代博物館館長を務めた。その間ギリシア各地で古代遺跡・遺品などの発掘調査活動に従事し、アテネで没した。紀元前4、5世紀のギリシア彫刻や彫刻宝石(ジェム)などのほか、さらに古い時代の陶器、陶器画など広く古代ギリシアの美術を研究し、美術考古学の領域に大きな業績を残した。古代関係の著書は多いが、ウルリヒスと共著の『ギリシア・ローマの彫刻』(1911)に邦訳がある。
[鹿島 享]