フレッチャー(John Fletcher、劇作家)(読み)ふれっちゃー(英語表記)John Fletcher

  • 1579―1625
  • John Fletcher、劇作家

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イギリスの劇作家。サセックスの聖職者の家に生まれる。彼は単独でもシェークスピアの『じゃじゃ馬ならし』の後日物語ともいうべき『女の賞品』(1611ころ)など約15編の劇を書いたが、むしろ合作が多く、ことにフランシス・ボーモントとの合作で有名。2人の合作は実際には10編ほどだが、彼らの死後出版され、さらに1679年には増補して52編を集めて出された作品集が2人の合作の名を冠せられていることでも、その評判と影響が推測される。2人はおもに私設劇場のために書いたが、宮廷人を中心にしたその観客層の趣味を巧みに作品に反映させ、ロマンチックな悲喜劇『フィラスター』(1610ころ)や家庭悲劇的な『乙女の悲劇』(1611ころ)の傑作を残した。フレッチャーはほかにもマッシンジャーらと合作し、シェークスピアの『ヘンリー8世』にもかなり彼の手が加わっている。彼の作品はほとんど国王一座によって上演されたが、彼はシェークスピア引退後のこの劇団の座付作者としての責務を果たすとともに、エリザベス朝から王政復古期へのイギリス演劇の移行の中心人物としての役割をもりっぱに務めたのである。

[中野里皓史]

『小津次郎訳『世界文学大系89 乙女の悲劇』(1963・筑摩書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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