日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フレミング(Ian Fleming)
ふれみんぐ
Ian Fleming
(1908―1964)
イギリスのスパイ冒険小説作家、ジャーナリスト。陸軍士官学校に学び、外交官を志したが試験に落第、1939年には海軍予備隊に志願し、第二次世界大戦中は海軍情報部に関係した。スーパー英雄007ことジェームズ・ボンドJames Bondを創作したが、最初の登場作品は『カジノ・ロワイヤル』(1953)で、その後『ダイヤモンドは永遠に』(1956)、『ロシアから愛をこめて』(1957)、『ドクター・ノオ』(1958)などを発表、とくに63年に『ドクター・ノオ』が映画化されて大評判をとり、続々と映画化されて爆発的人気をよんだ。007はイギリス情報部のスパイ暗号名で、上の二つのゼロは任務のために殺人も許されていることを示し、事実、一作品のなかで最低3人は殺しているといわれる。ハンサムで無類のタフガイ。賭博(とばく)が好きで、食事や酒にうるさく、女性に弱いという、現代男性の欲望の象徴のような存在で、このシリーズは長編12冊、短編集二冊がある。
[梶 龍雄]
『井上一夫訳『ロシアから愛をこめて』『ドクター・ノオ』(ハヤカワ文庫)』