日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フレーザー(Simon Fraser)
ふれーざー
Simon Fraser
(1776―1862)
カナダの探検家、毛皮商人。ニューヨークに生まれ、王党派の父が獄中で死んだのち、ケベックに移住。16歳のとき、北西会社で働くようになり、1805年以降、ロッキー山脈以西の貿易担当者になる。通商ルートを求めてフレーザー川上流、現在のブリティッシュ・コロンビア州の奥地を探検、各地に駐屯所を設営。08年にはフレーザー川を河口近くまでたどった。10年より、ハドソン湾会社が北西会社の勢力地帯のレッドリバー流域(アメリカからカナダに向かって流れる)に進出してきたため、両社間に争いが起こる。当時同地方担当だったフレーザーも、16年、当地で起こったセブンオークス大虐殺に関与したとの疑いで逮捕された。のち釈放されたが、20年同社を退社。フレーザー川の名は彼の名からとったもの。
[越智道雄]