フーケ(Jean Fouquet)(読み)ふーけ(英語表記)Jean Fouquet

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フーケ(Jean Fouquet)
ふーけ
Jean Fouquet
(1420ころ―77/81)

フランスの画家。トゥールに生まれ、同地で没。早くから画家として名高く、1447年以前にイタリアへ赴いた際、教皇エウゲニウス4世(在位1431~47)の肖像を描く。帰国後トゥールに工房を開く。宮廷でも重用され、1475年の記録で「王の画家」の称号を得る。エマイユの小型メダルに北方で初めて署名入り自画像を残す。彼の作とされる代表作に、『シャルル7世の肖像』をはじめ、現在アントウェルペン王立美術館とベルリン絵画館に二分される『ムーランの二連祭壇画』(その一枚アントウェルペンの『ムーランの聖母子』のモデルは1450年に没する同王の寵妾(ちょうしょう)アニュス・ソレル)などの板絵、線遠近法の処理がみられる『エティエンヌ・シュバリエの時祷書(じとうしょ)』、唯一当時の記録からフーケの作品と確認される『ユダヤの古代』の写本挿絵がある。国際ゴシック様式が支配的で、またネーデルラントの写本画家が主流であったフランスに初めてイタリア・ルネサンスの理念を導入し、さらに独自の様式を展開させて15世紀後半のフランス絵画に多大な影響を及ぼした。

[保井亜弓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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