ブラウン(Herbert Charles Brown)(読み)ぶらうん(英語表記)Herbert Charles Brown

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブラウン(Herbert Charles Brown)
ぶらうん
Herbert Charles Brown
(1912―2004)

アメリカの化学者。ロンドンに生まれる。2歳のときに両親とともにアメリカのシカゴに移住した。14歳で父を亡くし、苦学してシカゴ大学で化学を学び、1935年にアメリカの市民権を、また1938年に博士号を取得した。シカゴ大学で助手を務めたのち、1943年ウェイン大学に移り1946年準教授になった。翌1947年にパーデュー大学の無機化学教授となり、1978年まで務めた。

 ブラウンは、シカゴ大学時代からホウ素の化学的研究に取り組み、水素化ホウ素ナトリウムNaBH4を発見、それが有機化合物に対して優れた還元力をもつことをみいだした。この化合物は、その後広く還元試薬として利用されている。また、ジボランB2H6の簡単な合成法を発見し、さらにジボランを不飽和炭化水素に反応させ、オルガノボランを合成することに成功した。これはハイドロボレーション反応とよばれ、有機合成において大きな利用価値をもつものであった。これらの業績により、1979年にノーベル化学賞を受賞した。ドイツの化学者ウィッティヒとの同時受賞であった。

[編集部 2018年10月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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