ブラウン(Robert Brown、植物学者)(読み)ぶらうん(英語表記)Robert Brown

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブラウン(Robert Brown、植物学者)
ぶらうん
Robert Brown
(1773―1858)

イギリスの植物学者。スコットランド牧師の子として生まれ、エジンバラ大学で医学を修めて軍医となる。植物学に興味をもち、博物学者バンクスJ. Banks(1743―1820)の推挙でイギリス海軍の探検船に乗り組み(1801~1805)、南アフリカ、オーストラリア、タスマニア地方の植物を調査して約4000種の標本を持ち帰った。ロンドンのリンネ協会の司書(1806~1822)、バンクスの蔵書や標本の管理者(1810~1820)を務めながら、オーストラリアの植物の記載・分類を行った。バンクスの死後、彼のコレクションが大英博物館に遺贈されるに伴い、ブラウンは同博物館植物学部長となり(1827)、死ぬまでその地位にあった。バンクスが残した家に住み、生涯独身であった。新しい属や科を記載することによって植物分類法を改良し、心皮の有無によって被子植物裸子植物を明確に区別した。1827年、花粉内部の小顆粒(かりゅう)の不規則な運動(ブラウン運動)をみいだし、同様な運動は水中に浮遊する非生物的な微粒子でもみられることを確かめた。1831年には、植物の生細胞中に1個の核があることを明らかにした。

[檜木田辰彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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