ブラシス(英語表記)Blasis, Carlo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラシス」の意味・わかりやすい解説

ブラシス
Blasis, Carlo

[生]1803.11.4. ナポリ
[没]1878.1.15. チエルノビオ
イタリアの舞踊家。19世紀を代表するバレリーナの大半を育成し,今日のバレエの基礎を築いた。J.ドベルバルや P.ガルデルに学び,S.ビガーノのもとでスカラ座の首席舞踊手をつとめた。1820年『舞踊芸術の理論と実践に関する概論』Traité élémentaire,theoretique et pratique de l'art de la danseをミラノで,30年には『舞踊術』The Code of Terpisichoreをロンドンで刊行。舞踊史上最高の理論技術書とされるこれらの著書により不滅の名声を得た。37年スカラ座付属帝室舞踊学校の校長に任命され,ヨーロッパ各国における舞踊学校の典型となった規範制定。56年にはモスクワに招かれ,舞踊学校の教師となり,ロシアにイタリア・バレエの技法を伝えた。バレエ技法のアティチュードは彼の創案によるものであり,振付作品も 70以上に及ぶ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ブラシス」の意味・わかりやすい解説

ブラシス
Carlo Blasis
生没年:1797-1878

イタリアの舞踊家。振付師,舞踊教師。ナポリに生まれたが,若いころはほとんどフランスにあり,ドーベルバルとガルデルに学んだ。1817年イタリアに戻り,ミラノのスカラ座でビガーノとともに舞踊家として活躍した。20年《舞踊芸術の基礎・理論・実技概論》を出版した。これはバレエに関する最も重要な文献の一つで,きわめて実際的な教典である。26年から30年までイギリスにあり,その間に《舞踊芸術の法典》を出版。37年足の故障のため舞踊手を断念,以来教育に専念した。この時代にバレエの技法は進歩し,彼の著作と仕事が今日の舞踊語彙の根幹をなしている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラシス」の意味・わかりやすい解説

ブラシス
ぶらしす
Carlo Blasis
(1797―1878)

イタリアの舞踊家、振付者、舞踊教師。ナポリに生まれる。12歳のときマルセイユでデビュー、ボルドーやパリ・オペラ座で学んだ。その後、ミラノのスカラ座、ロンドンのキングス劇場、ペテルブルグの帝室劇場のソリストを経て、1837年スカラ座付属アカデミーのディレクターに就任。舞踊の理論家として、『ダンス芸術の理論と実践に関する初歩教程』(1820)、『舞踊家の教典』(1828)、『舞踊に関するノート』(1848)などを出版し、古典バレエの基礎を築いた。弟子にチェリートFanny Cerrito(1817―1909)、ロサティCarolina Rosati(1826―1905)、メイウッドAugusta Maywood(1825―1876)らがいる。

[市川 雅]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のブラシスの言及

【バレエ】より

…彼はコール・ド・バレエ(群舞の踊り手)の動きを改革し,その地位を高めると同時に,バレエの主題に関してはとくに意を注いで,ドラマとしてもりっぱな作品を考案した。続いてC.ブラシスが現れ,舞踊の教育法について大きな業績を残した。彼は舞踊の理論,技法の書を数多く書いているが,ミラノのスカラ座の付属舞踊学校の校長として,今日なお,世界各国のアカデミーの模範となる,合理的な教育方法を制定した。…

※「ブラシス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android