ブラック(John Reddie Black)(読み)ぶらっく(英語表記)John Reddie Black

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブラック(John Reddie Black)
ぶらっく
John Reddie Black
(1827―1880)

日本の新聞草創期に活躍したイギリス人。スコットランドに生まれる。海軍士官を経てオーストラリア商業従事。1861年(文久1)来日し、横浜で『ジャパン・ヘラルド』紙の編集、経営に参加する。1867年(慶応3)10月12日夕刊『ジャパン・ガゼット』、1870年(明治3)には日本紹介雑誌『ファーイースト』を横浜で創刊したのち、1872年3月16日東京で『日新真事誌』を創刊した。この新聞は、1873年5月、井上馨(かおる)、渋沢栄一の「財政意見書」をスクープ、翌1874年1月には板垣退助(たいすけ)らの民撰(みんせん)議院設立建白書をいち早く掲載したほか、新政府の施策を自由に論評したため、政府は1875年1月ブラックを左院顧問に任命、新聞から手を引かせたのち、6月には新聞紙条例を公布して、外人が新聞の持ち主になることを禁じ、翌7月ブラックを解雇した(新聞は12月5日廃刊)。怒ったブラックは1876年上海(シャンハイ)に去るが健康を害し、1879年日本へ戻り、日本滞在記『ヤング・ジャパン』を執筆、翌1880年6月10日死去した。

[春原昭彦]

『ねずまさし他訳『ヤング・ジャパン――横浜と江戸』全3巻(平凡社・東洋文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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