ブリッジズ(英語表記)Robert Bridges

改訂新版 世界大百科事典 「ブリッジズ」の意味・わかりやすい解説

ブリッジズ
Robert Bridges
生没年:1844-1930

イギリス詩人。1913年より没年まで桂冠詩人。オックスフォード大学卒業後,医学を学んで医師となったが,やがて詩作専念代表作は彼の人生哲学を開陳した長詩《美の遺言》(1929)で,これをルクレティウスの《事物本性について》と比較する批評家もいるが,思想の深さが技巧の洗練に及ばないという批判もある。初期の詩《愛の成長》(1876),《エロスプシュケー》(1885)のほか,《短詩集》(1890)もある。《ミルトン韻律》(1893)や《キーツ論》(1895)などの評論は韻律的技法への高度の関心の産物であるが,彼の最大の業績はまったく無名であった友人G.M.ホプキンズの詩集を編集刊行(1918)したことであろう。これによってホプキンズは現代詩に大きな影響を与えることになったが,皮肉にもブリッジズ自身は友人の革新性を十分に理解していなかったと思われる。
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ブリッジズ
Calvin Blackman Bridges
生没年:1889-1938

アメリカの遺伝学者。ニューヨーク生れ。コロンビア大学卒。カーネギー研究所勤務。T.H.モーガンおよびその弟子スタートバントA.H.Sturtevantに師事し,ショウジョウバエ遺伝学を研究。とくに伴性遺伝現象を研究し,その遺伝子X染色体に存在することを確認。遺伝的平衡説の確立唾腺(だせん)染色体による遺伝子の位置の調査などで活躍
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブリッジズ」の意味・わかりやすい解説

ブリッジズ
Bridges, Robert (Seymour)

[生]1844.10.23. ケント,ウォールマー
[没]1930.4.21. オックスフォードシャー,ボアズヒル
イギリスの詩人,批評家。韻律の技巧にすぐれ,言葉の音楽美に細心の注意を払った。『短詩集』 Shorter Poems (5巻,1890~94) ,『新詩集』 New Poems (1929) ,長詩『美の遺言』 The Testament of Beauty (29) などが代表作。また『ミルトンの詩法』 Milton's Prosody (1893) ,『ジョン・キーツ』 John Keats (95) など多くのすぐれた評論を書いた。 G.M.ホプキンズの友人で,彼との往復書簡集も重要。また英語の改良を目指した「純粋英語協会」を創設した。 1913年桂冠詩人。

ブリッジズ
Brydges, Sir Samuel Egerton

[生]1762.11.30. ケント,ウットンハウス
[没]1837.9.8. ジュネーブ近郊
イギリスの書誌学者,系譜学者。初め法廷弁護士になり,のち職を捨てて静かな田園生活に入り,詩や小説も書いたが,特にイギリスの古書の調査,研究,復元の仕事 ("Censura Literaria"10巻,1805~09) によって書誌学に貢献した。

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百科事典マイペディア 「ブリッジズ」の意味・わかりやすい解説

ブリッジズ

英国の詩人。医師から詩作に転じ,1913年桂冠詩人になる。韻律美しく自然をうたった秀作を含む《短詩集》(1873年―1893年)や哲学的な長詩《美の遺言》(1929年)などが代表作。また詩人G.M.ホプキンズを世に紹介。

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世界大百科事典(旧版)内のブリッジズの言及

【遺伝子】より

…その後,酵素はもちろんのこと,酵素以外のタンパク質の生産も遺伝子の直接的支配下にあること,およびタンパク質の多くは複数の同種あるいは異種ポリペプチドからなることがわかってきたため,一遺伝子一酵素説は一遺伝子一ポリペプチド説に修正・拡張されることになった(ハルトマンP.E.Hartman,1965)。
[遺伝子の古典概念]
 一方,ベリングJ.Belling(1928)らにより太糸期染色体が染色小粒とそれをつなぐ糸状部分からなる数珠状構造を示すこと,およびC.B.ブリッジズ(1935)らにより唾腺(だせん)染色体が染色性の高い横縞部分と染色性の低い介在部分からなることが明らかにされ,染色小粒や横縞が遺伝子に対応するという考えが生まれた。この考えは偽対立遺伝子の組換えや遺伝子の突然変異機構の研究成果をふまえ,遺伝子は機能(すなわち形質の支配)・組換え・突然変異という三つの現象に共通な基本単位であるとするグリーンM.M.Green(1955)らの《遺伝子の統一概念》へと発展した。…

【間性】より

…ショウジョウバエでは生殖細胞のX染色体が減数分裂に際して均等に分かれない結果,子に常染色体の組の数と性染色体の数のいろいろな組合せをもつ個体が生じることがある。ブリッジズC.B.Bridgesは,この現象を,X染色体に雄化遺伝子が,常染色体に雌化遺伝子があり,雌雄はX染色体の数と常染色体の組の数の比(性指数)によって決まると考え,この値が正常の雄と雌の中間のとき間性になると説明した(平衡説)。また,マイマイガは日本産のものとヨーロッパ産のものを交配すると間性を生じる。…

※「ブリッジズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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