ブルク(英語表記)Burg

デジタル大辞泉 「ブルク」の意味・読み・例文・類語

ブルク(Burg)

ドイツ中東部、ザクセン‐アンハルト州の都市。正式名称はブルク‐バイ‐マクデブルク。15世紀末にマクデブルク司教領の城が置かれ発展。以降、ザクセン公領、ブランデンブルク辺境伯領となった。織物業製靴業を経て、現在は金属加工業が行われる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ブルク」の意味・わかりやすい解説

ブルク
Burg

通常は個人または集団の安全を守るために建造された居住可能の防備施設(城)を意味する。狭義においては,ほぼ9世紀から14世紀にかけてヨーロッパ全域で出現した王侯や貴族的領主の石造居城を指し,近世以降の邸城Schlossや要塞Festungとは区別される。古ゲルマン人やスラブ人が危急の際,住民全員が逃げ込むためにつくった避難堡塁Fluchtburgも別の範疇に属する。ブルクの成立と発展は各地域の諸事情に応じてきわめて多様であるが,ブルクが中世的実力社会における支配の中心であり基礎であるという基本性格はどこでも同じである。築城権はもともと国王大権に属していたが,ほぼ11世紀から聖俗貴族も独自にブルクを築くようになり,13世紀後半になると,その動きは下級貴族にまで広がった。なお,古ゲルマン語に由来すると思われるラテン語のブルグスburgusは,初期中世には,おそらくその防備機能のゆえに都市ないし都市的集落(フランス語でブール)を指すのに用いられ,そこから,都市住民はブルゲンセスburgenses(ビュルガーBürger)=市民と呼ばれるようになった。
ブール
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルク」の意味・わかりやすい解説

ブルク
ぶるく
Burg bei Magdeburg

ドイツ北東部、ザクセン・アンハルト州北東の都市。1949~90年は旧東ドイツに属した。モレーン氷堆石(ひょうたいせき))で構成されたフレーミング丘陵北西麓(ろく)に位置し、マクデブルク大司教の第一の出城として発達した。人口2万3000(2000)。フランスなどからの難民による織物工業のほか、食品、皮革、家具、鉄、機械、鋼圧延、ブリキ特殊鋼合金ステンレス鋼の各工業が立地している。

[佐々木博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブルク」の意味・わかりやすい解説

ブルク
Burg

正式名称はブルクバイマクデブルク Burg bei Magdeburg。ドイツ中北部,ザクセンアンハルト州の都市。マクデブルクの北東約 20km,エルベ=ハーフェル運河の一部をなすイーレ運河にのぞむ。 10世紀中頃からの古い都市で,1496年マクデブルク大司教領,1635~88年ザクセン公領,以後ブランデンブルク辺境伯領となった。製材製靴,皮革加工,金属圧延などが行われる。人口2万 8461 (1980) 。

ブルク
Bourg

正式名称ブルカンブレス Bourgen-Bresse,ブールと読まれることもある。フランス東部,ジュラ山脈西斜面に位置するアン県の県都。中世からの市場町で,ソーヌ左岸のブレス-ドンブ低地の農産物集散地。東のジュネーブへ抜け,アルプスにいたる交通の要地で,後期ゴシック建築のブルー聖堂 (1513~32) ,16世紀のノートル・ダム聖堂などがある。人口4万 2955 (1990) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のブルクの言及

【ゲルマン人】より

… こうしてローマの盛時といわれるアウグストゥス帝の時代に入ると,ローマはエルベ川とその支流モルダウ川から,ドナウ川を結ぶ線まで,帝国の境界を広げようとしばしば兵を出した結果,ライン,エルベ両川間のゲルマン諸族は,しばらくローマとゆるい従属関係を保ち,その間だけは大きな紛争はなかった。ところが後9年,ローマの総督ウァルスPublius Quintilius Varusが,トイトブルクの森で,ケルスキ族の長アルミニウスの軍の奇襲をうけて大敗を喫して以来(トイトブルクの戦),ローマは守勢に転ずることとなり,ライン川の中流からドナウ川の上流に達する三角地帯に長城(リメス)を築いて,ゲルマン人の侵入に備えることとなった。ローマはまたライン川左岸に下ゲルマニア,上ゲルマニアの二つの属州を設け(ゲルマニア),三角地帯のデクマテス地方に多数の城砦を築いたため,これらの地域にはローマ文化の影響が色濃く印せられた。…

【都市】より

…そしてそうした都市の成立には,集落史的にみて,およそ次の三つの異なった機能をもつ先駆的形態に依存したものが圧倒的に多い。その一つは防備の施設である城砦(ブルク)であり,次は宗教の中心である教会,修道院あるいは北欧古来の神殿であり,いま一つはラテン語でエンポリウムemporiumと呼ばれた(いち)の開催地である。この三つは西ヨーロッパの全域にすでに初期中世から存在したものであるが,それが11世紀以降の中世都市の成立により,都市そのものが具備する3機能として合体したと考えてよい。…

※「ブルク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android