日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブルース(Paul Brousse)
ぶるーす
Paul Brousse
(1844―1912)
フランスの社会主義者。医師であったが、1870年代初頭第一インターナショナルに加入、弾圧を逃れてスイスに滞在中、アナキスト組織「ジュラ連盟」の論客となった。1870年代末、市議会議員選挙を利用した都市行政掌握の戦術を主張してアナキズムを離れた。1880年、フランスに帰還、1879年成立したフランス社会主義労働者党に参加したが、革命至上主義を唱えるゲードと対立、1882年の分裂を経て「フランス社会主義労働者連盟」、通称「可能派」を結成した。市議会への進出は合法的なコミューン建設の戦術と考えられ、また労働者層に有利であったところからアルマーヌらもこれに加わったが、党内で議員グループの比重が増すに伴い亀裂(きれつ)が生じ、1890年のアルマーヌ派の分離に至った。以後弱小党派を率いたブルースはジョレスに接近し、これとともに統一社会党に加わったが、徐々に社会主義の傾向を弱め、晩年これを離れた。
[相良匡俊]
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