ブルーニ(Leonardo Bruni)(読み)ぶるーに(英語表記)Leonardo Bruni

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブルーニ(Leonardo Bruni)
ぶるーに
Leonardo Bruni
(1370―1444)

イタリアの人文主義者、歴史家、政治家。アレッツォに生まれる。ギリシア語をはじめ豊かな教養を身につけて、1417年から生涯フィレンツェ共和国の書記を務め、優れた才能を発揮する。暝想(めいそう)的理想(文化)と実践的理想(市民的義務への献身)の調和を図り、単なる博識ではなく、人間の生活とくに社会生活の完成に、文化の真の意味をみいだしている。その哲学は倫理的、実践的色彩が強く、人間は市民的活動、政治活動において、その尊厳を獲得するものであり、こうした人間の問題を解決するのが哲学であると考える。この見地からギリシア哲学者の倫理思想を検討し、キリスト教倫理との完全な一致を認める。『フィレンツェ人の歴史』12巻(1404~1610)など、没後にわたって刊行された優れた歴史書のほか、プラトンアリストテレスなどの多くの著作をギリシア語から翻訳している。

[大谷啓治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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