ブレンターノ(Lujo Brentano)(読み)ぶれんたーの(英語表記)Lujo Brentano

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブレンターノ(Lujo Brentano)
ぶれんたーの
Lujo Brentano
(1844―1931)

ドイツの経済学者。新歴史学派の代表者の1人。哲学者フランツ・ブレンターノの弟、詩人クレメンス・ブレンターノの甥(おい)。大学で法律学、政治学を学び、1871年以降ドイツおよびオーストリアの大学教授を歴任したのち、91年からミュンヘン大学教授(~1917)、同地で没。73年、G・シュモラー、A・ワーグナーらと社会政策学会を創設したが、何度かの渡英によってイギリスの自由主義思想や同国の労働組合運動から強い感銘を受けていたブレンターノは、同学会の右派とされるワーグナーとは異なって、社会改良は労働者の「下から」の自主的活動によって行われるべきであると説き、労働者の団結と組合活動の自由を主張し、J・S・ミルやJ・E・ケアンズの賃金基金説、F・ラッサールの賃金鉄則説には反対であったが、自由貿易説を擁護する点ではイギリス経済学の正統説にくみしていた。経済史、経済思想史の研究でも著名である。日本の福田徳三はブレンターノの高弟の1人。『現代の労働組合』Die Arbeitergilden der Gegenwart二巻(1871、72)、『イギリス経済発展史』Eine Geschichte der wirtschaftlichen Entwicklung Englands三巻(1927~29)のほか多く著書論文がある。

[早坂 忠]

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