ブロイラー(Eugen Bleuler)(読み)ぶろいらー(英語表記)Eugen Bleuler

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブロイラー(Eugen Bleuler)
ぶろいらー
Eugen Bleuler
(1857―1939)

スイスの精神医学者。チューリヒ近郊に生まれる。チューリヒ、ベルンミュンヘンの大学に学び、1883年医学の学位をとる。1898年から1927年までチューリヒ大学の精神医学の教授でブルクヘルツリ精神科病院の院長を兼ねる。初めブントの心理学の影響を受けるが、のちにユングの協力のもとでフロイトの精神分析を取り入れ、研究グループをつくり、精神病を新しい角度から研究する。従来のクレペリンの早発性痴呆(ちほう)にとってかわってスキゾフレニアschizophrenia(統合失調症)という用語によって、この病気のもつ特性を明らかにした。診断のための基本的症状として、自閉性、連想障害、両価性、感情障害に注目する。朝早くから夜遅くまで病棟にとどまり患者と生活をともにした人であり、ブルクヘルツリの研究グループに参加した人たちに大きな影響を与え、精神分析的研究の発展に多大の貢献をした。

[外林大作・川幡政道]

『オイゲン・ブロイラー著、人見一彦監訳、向井泰二郎・笹野京子訳『精神分裂病の概念――精神医学論文集』(1998・学樹書院)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android